騙されて良い事と悪い事

鴨が食いたいなあ。合鴨じゃなくて本鴨。合鴨なんて偽鴨だからな。まあこの時期野鴨は無理だろうから、本鴨なら何でも宜しい。調べて電話致しました。「もしもし、本鴨を食べさせて頂きたいんですが、そちらで使われている鴨は本鴨ですか。合鴨じゃあ嫌なんです。本鴨が食べたいんです。」「勿論うちで使っているのは本鴨です。合鴨ではありません。」「そうですか。安心致しました。それでは今晩お邪魔致しますので、リザーブしておいて下さい。一人です。」本鴨を食える喜びをかみしめながら、その晩私はいそいそと出かけてゆきました。「今晩は。昼間電話で予約した者ですが。」「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。カウンター席へどうぞ。」たいそう小奇麗で洒落た店です。六割がた席は埋っていますが、大声で話すような下卑た客はおらず、静謐を保っております。「いかが致しましょう。」「お酒は浦霞、それと冷奴と鴨の陶板焼きを下さい。」「かしこまりました。」カウンターの中の板前は、国士舘大学柔道部出身といった空気を醸す、かなりの強面です。私なんぞは鼻息一発で吹き飛ばされてしまいそうです。斯様な、国士舘大学柔道部出身的強面板前が包丁を握って板場に立って居るのですから、なるほど店内が静まり返っているのも頷けます。浦霞と冷奴がきました。私は早速一杯やりました。???なんか何時も呑んでる浦霞の味と違います。香りも。冷奴も旨くありません。おまけに絹ごしです。もう一杯呑んでみました。違う!あきらかに浦霞ではない!「すみません。」「はいっ!」「私、浦霞を頼みましたよね。」「はいっ!」「これ本当に浦霞ですか。なんか味が違うんですけど。」「はいっ!お客さんよくわかりましたねえ。凄い!実はそれ一ノ蔵なんですよ。」「ええ!浦霞頼んだんだから浦霞下さいよ!」「浦霞切れてるもんで。」「だったら切れてるって言えばいいでしょ。」「まあ日本酒ならどれでもそんなに変わらないと思って。それにどちらも宮城のお酒だし。」「・・・・・・・・・それとねえ、この冷奴。これパックから出して薬味乗せただけでしょ。」「冷奴ってそういうもんじゃないんですか。」「あのさあ、それじゃ牛どん屋で出てくる冷奴と同じでしょ。こちらみたいなきちんとした(きちんとしていないようです。)料理屋さんで出す冷奴ってのは、昆布だしでさっと湯がいてから氷水で冷やすもんでしょ。」「・・・・そうなんですか。そういうもんですか。」「そういうもんですかって・・・・・・・」「よしっ!じゃあそれ、いまからやってみますよ!」「もういいですよ。これ食べるから。」「どうぞ、召し上がってください。葱は良い葱ですよ。足立葱です。」「ホントかなあ。」「ホントホント、葱はホントに足立葱です。」私はこの店に漸次好感を持ち始めました。そうこうしているうちに、鴨の陶板焼きが出てきました。何と言っても本鴨です。これが食いたかったのです。香りも大変宜しい。しかし何と無く肉の色味が薄いな。まあいいや。さっと焼いてパクリ。「モグモグ、フムフム、ンン、オオッ!、ヤヤッ!、アレッ!、コレハッ!」「すみませーん。」「はいっ!」「これ本鴨ですか。どうも柔らか過ぎるし、肉の味も薄いんだけど、ホントに本鴨?」「・・・・・流石っ!お客さんには参りました。はいっ!合鴨です。」「ちょっといいですか。私は本鴨が食いたくて来たんですよ。しかも昼間電話で確認しましたよね。本鴨ですかって。」「はい・・・・。」「嘘ついたんですか。」「はい・・・・。」「どうして?」「是非いらしていただきたかったもので・・・。」「・・・・・・・・。」私は錯乱した心持を落ち着かせる為、暫し、浦霞改め一ノ蔵を呑み、本鴨ならぬ偽鴨を食しました。その結果、この嘘つきなんだか、正直なんだか、詐欺師なんだか、素直なんだか、判別不能の国士舘大学柔道部出身的板前兼店主が甚だ好きになりました。是非また来ようと思念いたしました。さて、話は変わって、私の自宅のエアコンの設定温度は17度です。もうこれより下がりません。寒いのなんのって、具合が悪くなりそうです。こうして二酸化炭素を出来るだけ大量に排出し、官民一体となって世を騒がせている、あきれるほど馬鹿馬鹿しい二酸化炭素主原因説似非温暖化ブームに身を挺して徹底抗戦しているのです。馬鹿かと思うかもしれませんが、馬鹿にしてはなりません。京都議定書はヨーロッパ諸国が日本を騙し、金を巻き上げる為の詐欺契約に過ぎません。何よりの証拠が排出権取引です。排出権を証券化し、日本から金を強奪し、さらに利ざやを稼いでいます。さあ!読者諸賢もエネルギーを浪費し、二酸化炭素を大量に排出する現代生活を謳歌しようではありませんか。温暖化なんて全くのウソですよー。100年前にはまともな温度計なんてなかったんですよー。サヨナラー。

 

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