2015年04月

ぢろ諸法度開陳

皆様コマンタレブー。さて、私の如き戯け者にあっても、女郎風情に婚姻を迫られしこと幾度か。あにはからんや、私は婚姻を是とす。尚にして、女の気質性質に拘る事此れ全く無し。悪女、魔女、痴女、奇女、浪費家、吝嗇家何でも御座れ。何故なら、所詮人間は相手と分かり合うことなぞ絶望的に不可能なのであるからして、女の人間性などどうでも良いのだ。但、容姿についてはこれを看過することはならぬ。決して醜女はいけない。衆人羨む麗人でなければならぬ。アグネスラム似であれば尚好し。巷間、美人は三日で飽きるがブスは三日で慣れるなどと云われる。しかしこれは真っ赤なウソであり大間違いである。宅の前を流るる川はドブ川より清流が好き事と同様、樹木希林より大原麗子を好むのは至極当然ではないか。女も景色も容子好き事に勝るもの無し。斯くして、私は婚姻を是とするにはするが、それは厳しき条件あってのことである。その条件こそ、此処に著わす『ぢろ諸法度』也。遠く昔日、幾人かの婦女子に婚姻を迫られるやいなや、私はこの『ぢろ諸法度』を突きつけたのである。以下に記す。

一つ  人間は理解しあうことなど絶対に出来ないという真理を日々強く念じ、それを行動規範とすること。

二つ  互いに経済的、精神的な完全自立を目指し、一刻も早いその実現に向けて最大限の努力を以って激烈に邁進すること。

三つ  湯、雪隠、寝床はそれぞれ各自専用のものを設け、決して混同せぬこと。ましてや、同衾なぞ以ての外。

四つ  家中においては極力接触を避け、止むを得ず接近する場合は極限の礼節を尽くすこと。

五つ  互いの生活に干渉すること、また関心を持つことの一切を堅く禁ず。

六つ  友人知人の共有を禁ずるは勿論のこと、親戚付き合い、近所付合い等の無意味な人間関係を全面的に断絶すること。

七つ  会話を望む場合は主題を厳格に定め、己の叡智を総動員し、その主題に沿ってどちらかが完全に論破されるまで激論を繰り広げること。その主題は、政治経済、思想哲学、時事問題及び、せんだみつお論に限り、知的向上の見込めぬ俗談の類は此れを厳に慎むこと。

八つ  金品授受の一切を禁ず。

九つ  死病に罹りしは迷わず逐電し、以降便りを絶つこと。

十   不幸にも離縁に至りしは、互いに最高峰の弁護士を徴用し、死力を尽くして激闘を晒すこと。

 

私がこの法度を示すや、女郎共は凡て速やかに目前を去った。霊長とやらは、醜悪で卑劣で狡猾、そして誠に不愉快な存在である。互いに接触は極力控えるが好し。然らば皆々様ごきげんよう。      

 

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