2010年5月

反逆のファークラス

日々の生活の中で起こる事の殆どが、私にとって著しく不快であり、苦痛であり、うっとうしく、煩瑣で、まるで熱すぎて入れない風呂の如く私をイライラさせ、ひたすら苦しめるのである。こんな事を書くと如何にも私が変人で偏屈な癇癪持ちの様に思われるかもしれない。それは自覚しております。しかしこんなブログを読んでいる貴方も相当変わっていますぞ。例えば、貴方が毎日死闘を繰り広げている満員電車。そのまま佃煮になってしまいそうな状態で職場に突進しなければならない現状に腹が立ちませんか。その満員電車の中で何としても新聞を読まんと異常なまでに執念を燃やしているたわけ者から、新聞を奪い取り、八つ裂きにしてやりたくなりませんか。貴方の背中の方で、佃煮電車にもかかわらず何故か愉しそうに電話をしている若い女性の携帯をへし折り、百叩きの刑及び火あぶりの刑に処したくなりませんか。電車を降りても、自動改札でチョンボしてつっかえているまぬけを見ると、後ろから強烈なドロップキックを食らわせて、そのまま自動改札を通過させてやりたくなりませんか。そんな事にいちいち腹を立てていたらきりがないし、浮世を生き抜く事はできないさ、と思った貴方。それが良くない。実に良くない!貴方のその事なかれ主義が世の中を悪い方向へ導いてしまっているのです。不愉快な事は不愉快だと大きな声で叫びましょう。恥ずかしがっていてはいけません。皆が一日中、不愉快だ!こんなの厭だ!お前なんてあっち行け!と絶叫すれば、必ずや社会は快方へと向かうでしょう。さて、過日丑の刻、所は馬喰町のショットバー。すでに三軒目という勢いも手伝って、私はグレンファークラスの25年を奮発し、一人ほくそ笑みながらちまちまと呑んでおりました。一口呑んでは矯めつ眇めつし、早くも一杯目が消え去り二杯目を呑み始めた刹那、入口の重い扉を押し開き、妙齢の麗人が一人現れ、私の二つ隣のカウンタースツールを陣取りました。いやはや何と申しましょうか、この御麗人。とにもかくにも香水がきつい。いや、きついなんてもんじゃありません。頭からたらいで香水を被ったみたいです。これはどうしたものか。私は、津波のように押し寄せてくる猛臭と格闘しながら朦朧とする思考を奮い立たせ、少時考えました。しかし、その間にも猛臭は私の体力をじわじわと奪ってゆきます。いかん!もう我慢ならん!「御免下され、御麗人!御無礼を承知で進言致しますが、貴方いくらなんでも香水がきつすぎますぞ!臭い臭い!臭くて臭くて鼻が曲がりそうです!貴方のお陰でスペイサイド系シングルモルトの雄、グレンファークラス25年が台無しじゃないですか!どうしてくれるんですか!貴様のような輩は直ちに帰宅ののち即座に湯に入り、へちま及び糠袋で徹底的に体をこすり、その猛臭を洗い流すがよい!!」私は堂々と自らの不快感を表明すべく爆臭麗人を面罵したと同時に、反撃に備えました。落ち着いた空気と節度ある賑わいに満たされていた店内は、私の暴挙によって一気に通夜の如き様相に転化しています。入店したばかりで、まだ何も注文もしていない烈臭麗人は私の面罵をまともに受け、暫時あっけにとられていましたが直後、両手で容顔を覆い嗚咽を始めました。やがて嗚咽は号泣へと昇華し、店内は取り返しのつかない炎臭麗人の号泣ワンマンショーとなってしまいました。うーむ、この状況はもはや私の手に負えん。こうなったら止むをえまい。甚だカッコ悪いが逃げるしかないな。私は小声でマスターに詫びを入れ、酒手を多めに置いて、更にヒートアップする号泣ショーを尻目にそそくさと店を出た。愛用の自転車を押して帰路につこうとワイヤーロックを外していると、私を追いかけるようにマスターが店を飛び出してきた。そうか、この店はもう俺は出禁だな、まあ仕方がない。と思ってマスターが近づいて来るのをまっていると、「いやーJさん有り難う御座います」「ええっ!」「あのお客さん見たことありませんか。女優なんですよ。しかしあの香水の匂いにはホントに閉口してたんです。最近週に二回はこの時間に来るんですよ。実は他のお客さんからも評判わるくて、、、よくぞあそこまで言って下さいました。助かりました!」「、、、い、い、いや。どういたいまして、、、」皆さんどうです!私の叫びによってかくも多くの人々を幸福へと誘ったのです。皆さんも今までの事なかれ主義とは本日をもって決別し、厭なことは厭だと、不愉快なことは不愉快だと明瞭に叫ぼうではありませんか。私は毎日不愉快なことばかりだー!!

短絡的思考回路

聞いて下さい皆皆様よ。私はイタリアなんて全然好きじゃありませんし全く興味も御座いません。なんか嫌なんだなあ、誤解されて。私が仕事として取り組んでいる対象物がたまたまイタリア製の工業製品だというだけの事であって、そんなことは私にとってどうでもよいのです。ロシア製だろうとアルゼンチン製だろうとリビア製だろうと本当にどうでもよろしい。この仕事をしていると、イタリア好きでイタリアに頻繁に行っててイタリア文化に造詣が深く、性格もラテン系(安っぽい言葉だなあ)などと思われる事が多いのです。この際はっきりと申し上げましょう。私はイタリアなんぞは大嫌いです。まあイタリア料理は旨いと思うし好きだけど。かといって、私は自国である日本もさほど好きではありませんし、いわゆる愛国心などというものは絶無です。偶然日本に生まれただけであり、日本人であることに何の価値も有難味も感じません。ただ、冷徹かつ客観的にみて、日本の庶民(あくまで庶民です)生活の中に散見される謙譲心や忍耐力、抑制の効いた感情表現は極めて崇高で、本質的な品性というものは何かということを如実に物語っていると思うのです。これは西欧における表面的で安手の道徳心とは完全に一線を画するもので、思慮の浅い西欧人には到底理解できないものです。ですから、日本とて呆れるくらいの愚国には違いないが、少なくともイタリアよりはましだと感じます。私のイタリア人に対する評価は、友好的に見えて実は甚だ狡猾にしていい加減、そのくせ無闇と自尊心ばかり高く、何でも自国が一番だと思っており、口では相手の国を褒め称え笑顔を振りまきながら心の底ではアジア人を徹底的に馬鹿にしている、とこんな感じです。どうです、イタリアに詳しい方々、実に的を射た指摘でしょう。だいたいなんですか、あのピチピチでつんつるてんのスーツは。誰がどう見てもカッコ悪いですよ、アレ。生地も薄っぺらで縫製も甘く、ジャケットの袖なんてちょっと引っ張っただけで取れてしまいそうです。ましてや、あれをお洒落だと思い込んで着ている日本人は噴飯ものですな。あと、先っちょが異様に長くとんがった靴、アレも全然ダメ、お洒落じゃありません、下品です。傾いた塔を直しもせずに放置しているのも私としては断じて許すことはできません。きちっと垂直に直しなさい、危険だし。ベネチアなんてびちゃびちゃの水浸しじゃないですか。あれが日本だったら直ちに総力を挙げて排水設備を完備し、たちどころに解決してしまうだろうなあ。さて、ここまで言えば私がいかにイタリア嫌いか御理解頂けたかと存じます。あ、そうだ。思い出した!半年以上前でしょうか。イタリアにも尊敬すべき人が少しはいるんだなあと思った事がありました。ベルルスコーニの顔面に向かって重そうな置物を投擲し的中させ怪我を負わせた人。どこの誰だか知りませんが、あのイタリア人は偉いと思いました。しかしながら、重ねて申し述べます。私はイタリア及びイタリア人が大嫌いです!

 

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